一度、この笑いが生まれるともう何をしても面白く思えてくるから不思議だ。

しばらく笑い合った俺たちは落ち着いてきた頃に花火を再開し、残りは線香花火だけとなった。

この花火が終わったら美桜と過ごす夏休みも終わるのかな。


「はい、勝負ね」

「罰ゲーム、わかってるよな?」

「はいはい。わかってるって」


俺の言葉に流れるように返事をして、点火棒をカチカチッと数回押して火をつけた。

そんな適当に流してるけれど、俺はまじで勝ちにいくから。

だって、俺の好きなところ聞きたいし。
俺の線香花火にも火がついた。

ふるふると震えながらも、火の玉は蕾のようにぷくぷくと膨らんでいき、やがてパチパチと音を立てて細かい火花が勢いよく噴き出した。

俺はその小さな蕾を落とさないように動かずにただじっと見つめる。

蕾の周りを激しく舞い散る火花がとても綺麗で、儚くて何故だか胸がぎゅっと締め付けられた。

ふと、横に視線を向けると、美桜も真剣な眼差しで儚く火花を散らす線香花火を見つめていた。


耳に入ってくるのは、パチパチと弾ける音と自分の激しい鼓動の音だけ。