大切な人との大切な時間や今しか見れない景色を残したい、と思ったからだ。

家にある家族旅行の写真や俺の幼少期の写真。

そのどれも、もう戻ることのできない時間。

でも、みんなで見返してああだこうだと思い出話に花を咲かせることはできる。
いつの間にか大切な気持ちを忘れかけてしまっていたのだ。

親にもちゃんと話そう。
俺の将来について。


「すごい!ほんとにハートだ!可愛い!」


興奮したように俺のスマホを覗き込む彼女。


「だろ」


得意げにして見せると、美桜がクスリと小さく笑った。


「なんで笑うんだよ」

「ううん。櫂と一緒にいると楽しいなって思って」


どくん、と心臓が大きく跳ねた。

そういう言葉をさらりと言う美桜はズルい。
どこまで俺をドキドキさせるつもりなんだろうか。


「俺も楽しいよ」


ずっと一緒にいれたらいいのに、と神様に願ってしまうくらい、君が好きだから。

美桜も俺と同じ気持ちならよかったのに、と叶いもしない願いを心の中でそっとこぼす。