きょとんとした顔で俺を見たあと首を傾げた美桜。

ポニーテールの尻尾がゆらりと可愛らしく揺れる。

そんな些細な仕草までもが俺の心を虜にしてしまう。


「な、なんもない!次はこれやろうぜ!」


動揺しているのを悟られないようにその辺にあった花火を手に取った。


「いや!線香花火は最後が定番でしょ!」


美桜が俺の手に取った花火を見るなり、すかさずそう言った。


「あ……ほんとだな。ミスミス」


適当に取ってしまったのは線香花火だったようで慌てて元の位置に戻した。


「あとで線香花火でどっちが先に終わるか勝負しよっか」


いたずらっぽく微笑む彼女に俺も笑みを返した。


「いいよ。罰ゲームは?」

「え、罰ゲームもやるの?」

「やだ?」

「いや、いいけど……何にするの?」

「んー……相手の好きなところを一つ言う、とか?」


これは完全に俺が自分の気持ちを優先した結果の言葉だ。

美桜が俺のどこか一つでも好きになってくれていて、なおかつそれを知ることができるチャンスだ。

まあ、美桜には何の得もなくて俺得でしかないけど。