すると数秒後、シューという独特な音と共にキラキラと激しく眩しい光の線が夜を照らした。
「おー!すげー!」
「ほら、櫂も早く。わたしの火あげるよ」
そう言いながら俺の方へと近づいてくる美桜。
俺は美桜に言われるがままに持っていた花火を美桜の花火へと近づけるが俺はもう花火とかそれどころじゃない。
肩と肩が触れ合いそうなほどの距離にだんだんと鼓動が加速していく。
夜だからなのかいつもよりやけに美桜が色っぽく見えて、もう俺の目は花火なんかよりもずっと愛おしい君を映していた。
それからしばらくしてシューと俺の花火にも火が付いた。
はっとして意識を徐々に美桜から花火へと戻す。
「俺のは青色で、美桜のは赤色だな」
「ほんとだ。キラキラしてて綺麗だなぁ」
もくもくとたつ白い煙の中で、花火を見ながら美桜が言った。
その表情はうっとりとしているようでどこか儚げなに感じて否が応でも俺の心臓はどくんと跳ねた。
あー、もうダメだ。
夏休みの間、美桜を見てなかったからいつもよりも意識してしまう。
思わず、その横顔に見とれていると
「ん?どうした?」