《なんもしてない。暇すぎて死にそう》


思わず、緩む頬を抑えながら返信を送る。

何も思ってないやつに【いまなにしてるの?】とか聞いてこないだろ。

つまり、俺の恋にも脈があるかもしれない。


うわー!と叫び出したくなるくらい今の俺の気持ちは高ぶっている。

ピコン、と電子音がしてすぐにトークを開いた。


《よかったら花火しない?》


は、花火……!
夏の夜に二人で花火なんてロマンチックすぎる。

神様、味方をしてくれてありがとう。


《もちろんする!》


ばくんばくん、とうるさいくらいに高鳴る鼓動を抑えきれないまま、ベッドでジタバタと暴れて嬉しさを噛みしめる。

最高の夏になりそうな予感だ。
と浮かれていたのも束の間。

次に来たメッセージを見て俺はガックリと肩を落とした。


《じゃあ、西神も誘うね》


二人きりじゃなかったのか……。
いや、まあ冷静に考えてみればそうなんだけど。

でも俺だってちょっとくらいアピールしても許されるよな?


《二人じゃダメ?》


よし、送信っと。
二人とか無理なんだけどとか思われたらどうしよう。