「大丈夫?暑さでおかしくなっちゃったんじゃない?」


そう言いながら俺の顔を覗き込む佑香。

その顔からは心配してくれているのが滲み出ていた。


「はは、そうかも。んで、何の用?」

「いや。櫂のママから最近、櫂があんまり元気ないって聞いたから心配してきてあげたの」


当たり前のように俺の隣に座ってくる佑香。

コイツとは特に理由がなくても会えるのに、なんてせっかく心配して来てくれている彼女に対して何とも最低なことを考えている自分が嫌気がさす。


「さんきゅー。でも別に元気だから大丈夫」


本当に元気なことに変わりはない。

ただ、美桜に会えなくてちょっと寂しくなっているのといつ両親に自分の将来について打ち明けようかを迷っているだけ。

でも、そんなこと誰かに言えない。


第一に美桜には西神という好きな人がいるのだから俺みたいに会えなくて寂しいなんて思ってくれているわけがないのだ。

メッセージのやりとりだけじゃ、物足りないと思っているのはきっと俺一人だけなのだから。