「……ストラル領って王都からどれくらいでしたっけ?」
「馬車で3日。直便ないんで乗り換え悪いと4〜5日かな」
貧乏伯爵家は馬車所有してないのでと言った伯爵は、
「そんなわけでしばらく来ません」
と宣言する。
「ずるいっ!! ずるいです」
うちだって週2〜3回しか来てくれないのにとベロニカは反対する。
「やきとりばっかり伯爵に構われてずっと一緒なんて、不公平です」
私それなら未来の妻の座よりペット枠がいいとベロニカはそう訴える。
「名前やきとりで確定なんですか?」
名前がシュール過ぎるんだけどと呆れ顔の伯爵は、
「おまえはやきとりでいいの?」
と一応飛竜にお伺いをたてる。
「きゅーぷ」
「ヤダって」
おまえ賢いねというと飛竜は嬉しそうに伯爵にスリスリし、伯爵の頬にキスをした。
「伯爵の浮気者ぉ〜」
「…………ベロニカ様、余裕なさ過ぎでは?」
浮気ってヒトですらないんだがと呆れたようにそう言うが、
「私だってまだした事ないのに」
生まれて数分の子に先越されたとベロニカは拗ねてしまった。
「あ、じゃあこうしましょう。ここで飼育させてください。そしたら俺毎日餌やりに離宮に来ますし」
ほら、毎日会えますよ? とベロニカに提案するが、
「ついで感半端ないです」
私の専属暗殺者なのに、とベロニカはうずくまって床にぐるぐると円を描いて私の方がずっと伯爵の事好きなのに遊んでくれないと拗ねる。
伯爵はネコに妬いたり飛竜に妬いたり大変だな、と狭量な呪われ姫を見てクスッと笑う。
あんまりこの手は使いたくなかったんだけど、仕方ないと腹を括った伯爵は、拗ねていたベロニカをふわりと抱き抱えて、
「頼むよ、ベロニカ。な?」
飼っていい? とベロニカをじっと見つめておねだりをする。
「はぅわぁぁぁ、伯爵がまさかの色仕掛け」
普段絶対やってくれない仕草にきゅんとしてしまったベロニカは、
「……私の事も構ってくれます?」
と譲歩する。
「いつも一番に構ってるじゃないですか」
俺これでも結構忙しいんですよ? と言って、
「俺の一番はベロニカ様だけですよ」
そう申告する。
「たまにはさっきみたいに名前呼び捨てしてくれます?」
「善処します」
「……許可します」
ものすごくときめいたので、今のもう一回やってくださいとベロニカは伯爵に抱えられたままねだるが、
「たまにじゃないと効果ないんで却下」
にこっと悪い顔をしてボイスレコーダーを取り出し、
『……許可します』
と先程のやりとりを再生させた。
「言質は取りましたので。まさか一国の王女様が自分の言葉に責任取らないとかないですよね?」
ニヤニヤっと笑う伯爵に、やられたと頬を膨らませつつ、
「……もちろんです。でも、ちゃんとお世話しに来なきゃだめですよ?」
毎日来てくれるならいいかとベロニカは降参と両手を上げる。
「ありがとうございます」
名前何にしようかなぁといいながら珍しく浮かれている伯爵がとても可愛く見えたので、
「ふふ、どういたしまして。離宮にようこそ、新しい住人さん」
ベロニカはとても幸せそうにそう言って笑った。
伯爵がベロニカから護り切ったこの飛竜が実はかなりの貴重種だと判明するのも、伯爵に懐いた飛竜が大きくなってから仲間を連れてきて離宮にいつくようになるのも、人工飼育および繁殖に成功した伯爵が飛竜による空路開拓によりひと財産築くのも、数年先の未来のお話。
「馬車で3日。直便ないんで乗り換え悪いと4〜5日かな」
貧乏伯爵家は馬車所有してないのでと言った伯爵は、
「そんなわけでしばらく来ません」
と宣言する。
「ずるいっ!! ずるいです」
うちだって週2〜3回しか来てくれないのにとベロニカは反対する。
「やきとりばっかり伯爵に構われてずっと一緒なんて、不公平です」
私それなら未来の妻の座よりペット枠がいいとベロニカはそう訴える。
「名前やきとりで確定なんですか?」
名前がシュール過ぎるんだけどと呆れ顔の伯爵は、
「おまえはやきとりでいいの?」
と一応飛竜にお伺いをたてる。
「きゅーぷ」
「ヤダって」
おまえ賢いねというと飛竜は嬉しそうに伯爵にスリスリし、伯爵の頬にキスをした。
「伯爵の浮気者ぉ〜」
「…………ベロニカ様、余裕なさ過ぎでは?」
浮気ってヒトですらないんだがと呆れたようにそう言うが、
「私だってまだした事ないのに」
生まれて数分の子に先越されたとベロニカは拗ねてしまった。
「あ、じゃあこうしましょう。ここで飼育させてください。そしたら俺毎日餌やりに離宮に来ますし」
ほら、毎日会えますよ? とベロニカに提案するが、
「ついで感半端ないです」
私の専属暗殺者なのに、とベロニカはうずくまって床にぐるぐると円を描いて私の方がずっと伯爵の事好きなのに遊んでくれないと拗ねる。
伯爵はネコに妬いたり飛竜に妬いたり大変だな、と狭量な呪われ姫を見てクスッと笑う。
あんまりこの手は使いたくなかったんだけど、仕方ないと腹を括った伯爵は、拗ねていたベロニカをふわりと抱き抱えて、
「頼むよ、ベロニカ。な?」
飼っていい? とベロニカをじっと見つめておねだりをする。
「はぅわぁぁぁ、伯爵がまさかの色仕掛け」
普段絶対やってくれない仕草にきゅんとしてしまったベロニカは、
「……私の事も構ってくれます?」
と譲歩する。
「いつも一番に構ってるじゃないですか」
俺これでも結構忙しいんですよ? と言って、
「俺の一番はベロニカ様だけですよ」
そう申告する。
「たまにはさっきみたいに名前呼び捨てしてくれます?」
「善処します」
「……許可します」
ものすごくときめいたので、今のもう一回やってくださいとベロニカは伯爵に抱えられたままねだるが、
「たまにじゃないと効果ないんで却下」
にこっと悪い顔をしてボイスレコーダーを取り出し、
『……許可します』
と先程のやりとりを再生させた。
「言質は取りましたので。まさか一国の王女様が自分の言葉に責任取らないとかないですよね?」
ニヤニヤっと笑う伯爵に、やられたと頬を膨らませつつ、
「……もちろんです。でも、ちゃんとお世話しに来なきゃだめですよ?」
毎日来てくれるならいいかとベロニカは降参と両手を上げる。
「ありがとうございます」
名前何にしようかなぁといいながら珍しく浮かれている伯爵がとても可愛く見えたので、
「ふふ、どういたしまして。離宮にようこそ、新しい住人さん」
ベロニカはとても幸せそうにそう言って笑った。
伯爵がベロニカから護り切ったこの飛竜が実はかなりの貴重種だと判明するのも、伯爵に懐いた飛竜が大きくなってから仲間を連れてきて離宮にいつくようになるのも、人工飼育および繁殖に成功した伯爵が飛竜による空路開拓によりひと財産築くのも、数年先の未来のお話。