「守人さんが私に教えてくれなかったら、私は、また間違った選択をしていたと思います。そして、また悩んでいた。
高校生って言っても、まだまだ未熟で……支えてくれる人がいないと、前へ進めないって。そう思うんです」
私だけかもしれないけど……。
「だ、だからこそ、当時高校生だった守人さんは悩まなかったのかなって。そして今も……無理してないかなって」
「――……」
守人さんは、僅かに口を開けていた。
だけど、何も口にしないまま、静かに閉ざす。そして「僕は大丈夫」とほほ笑み、帽子を被った。
「冬音ちゃんに、またまた新たな情報を一つ。警察官はね、メンタルが強くないとなれないんだよ?」
「え、そうなんですか!?」
「うん。だから、警察官になれた僕は、メンタルが強いって事だね。だから心配しないで。僕はちゃんと、前を向いてるよ」
ニコッと。
守人さんは笑った。いつもの笑顔で。