「⁉」
ついに目を覚ました夏海が、勇運くんを探して玄関まで出てきたのだ。目をこすりながら、力の入ってない手で勇運くんのズボンを握っている。
そんな夏海の行動に驚いたのは勇運くん、ではなくて――
「ねぇ、勇運……」
「あ?」
「もう……」
信じられないものを見たと言わんばかりに、守人さんは目を開いていた。そして勇運くんの名前を呼んだ途端、喋らなくなってしまう。
「守人さん……?」
「……あ、いや。ごめんね、何でもないよ」
力なく笑った後、守人さんは夏海を見た。いや、正確には。夏海と勇運くんを、交互に見ていた。
その姿は、目の前に起きてるのは本当に現実?と、しきりに守人さんが確認しているようだった。