眺めているだけで良くて、好きとかいう感情を抱いていることすら申し訳なくなってしまうくらいわたしの初恋相手、カズくんは芸能界という世界で輝いている。

そんな彼と幼い頃に交わした約束をわたしは覚えていたから。


『いつか俺が有名になれたらこの学校で再会しよう。その時に伝えたいことがあるから』


彼にそう言われて深く頷いたわたしは今ここにいる。

それだけでここに入学してきちゃうわたしはたぶん本当にポンコツなんだと思うけど。


「初恋相手!?いきなり漆葉くんにライバル出現!?」

「だーかーら!そう言うのじゃないんだってば!」

「彼のことは好きじゃないって否定したのに漆葉くんのことは否定しなかったよね」

「うぅっ……」


ダメだ。

希織ちゃんは鋭すぎて何も逃してはくれない。