「何言ってんの。ゆのたんも入学してるじゃん」
「わたしはほんとに受かったのが奇跡だよ」
「ゆのたんってなんでこの学校を志望したの？地元からちょっと離れてるよね？」
うっ……やっぱりそれは避けられない質問だよね。
わたしがこの学校に入学を決めた理由は。
「会いたい人がいたんだよね」
「会いたい人？」
「うん。向こうは覚えてないと思うんだけど、どうしても一回会いたくて入学してきちゃった」
まあ、まだ会えてもないし、姿すら見れてないんだけど。
「ふーん。その人のこと好きなの？だから漆葉くんとは付き合えないとか？」
「いや、好きとかじゃないと思う。ただの初恋だし……ただ約束したから会いに来ただけ」
もう遠い存在すぎて、好きが憧れに変わってしまったんだと思う。
