「さっき動画サイト開いたときにチラッと見えたから」

「見ないでよ!」

「嬉しかったよ。でもアイドルの俺じゃなくてさ……」


甘いミルクティーのような髪がふわりと揺れて、耳を飾っているピアスが蛍光灯の光でキラリと光る。


「ほんとの俺を好きになってよ」


形のいい唇がきゅっと斜めに上がり、どうしようもなくらい熱を持った色素の薄い瞳がわたしを見下ろしている。


ああ……ダメだ。
こんなの好きにならないほうがおかしいじゃん。

心臓が爆発するんじゃないかってくらい鼓動がうるさく音を立てていく。


「……か、考えとく!」


それだけ言うと、わたしはドン!と善くんを突き飛ばしてそのまま音楽室から飛び出した。

少し走ったところで立ち止まり、乱れた息を整える。