「俺じゃ、不満？」

「いや、不満なわけないし……っ」


善くんが不満なわけがない。

むしろ、大満足なんだけどそんなこと言えるわけがない。


「じゃあ、なんで俺じゃダメなの」


だ、ダメっていうわけじゃないけど……。
そのわたしなんかに善くんはもったいなすぎるというかなんというか。

とにかく、わたしは善くんの彼女になる自信がまるでない。

だけど、善くんの彼女になる自信がない、なんて本人に言ったってどうせそんな自信はいらないとか言われそうだから言えない。


「ま、まだわたしたち出会って間もないし？お互いよく知らないじゃん？も、もっと知ってからの方がいいっていうか……わたしはアイドルの善くんは好きだけど、普段の善くんは好きかどうかまだわかんないし……」


嘘をついた。

わたしはどちらの善くんも大好きだ。

せっかく好きにならないでいようって頑張ってたのに、好きになったことを認めないでいたらこの気持ちはファンとしての好きなのかなって誤魔化せると思っていたのに全然ダメじゃん。