「……へ?」
自分の口からマヌケな声が出たのはその米粒がついていた場所に善くんが自分の唇を押し付けたから。
唇と唇が触れ合ったわけじゃない。
ただ、口の端に柔らかいものが触れ、目の前にはにんまりと意地悪そうに笑う善くんがいる。
体が沸騰してしまいそうなくらい熱い。
「なんか柚音ちゃんの顔見てたらキスしたくなっちまった」
「ええ!?」
「でも口にしたら怒られそうだからそこで我慢した」
なんて、けろりとしている善くん。
わたしはこんなにドキドキしているけど、善くんはきっとただの気まぐれで相手してくれてるだけ。
彼は芸能人で演技もできちゃうすごい人なんだからこれくらいどうってことないんだよ。
「口以外もダメだよ」
「今日、ここで会うの3回目だな」
「ん?そうだね」
わたしの言葉は無視された。
善くんって都合が悪い時、結構わたしのことスルーするよね。