「あ、そっか」
「プライベートの俺は柚音ちゃんが独り占めする?」
頬杖をついて、コテンを首を傾げ、色素の薄い茶色の瞳が弧を描いて形の良い唇の端が斜めに上がる。
アイドルの時には見れない、わたしだけが見れるとろけてしまいそうなほど甘い笑顔。
そんな甘い笑顔に思わず、ぶわぁっと胸が熱くなる。
「し、しないよ。ほら、お弁当食べよ」
善くんに視線を向けないようにしながらお弁当を取り出して一つを善くんの前に、もう一つを自分の前に置いた。
「しねえのか、残念」
「うん」
「俺は柚音ちゃんを独り占めしたいけどな」
「なっ!?」
突然の言葉にお弁当の蓋を落としそうになった。
そんな動揺したわたしをみて善くんはケタケタとお腹を抱えて笑っている。
この言葉はきっと本心じゃない。
わたしをからかいたいだけの言葉で深い意味はない。