「わかってるもん」
わたしに構うのは、なぜかわたしが近くにいるとよく眠れるからで、ただそれだけのことだってことくらい。
バカなわたしにだってそれくらいわかってるんだからね。
「お前のこと、恋しいのはほんとなんだけど」
そう言いながら目線を下に落として、わたしの人差し指をすりすりと撫でる。
触れられている部分がじんじんと熱を帯びていき、それが顔まで広がっていくからわたしの顔はきっとリンゴみたいに真っ赤だ。
「……アイドルなのにそんなこと言っちゃダメだよ」
もうこれ以上、わたしを惑わさないでよ。
わたしみたいなやつに好きになられたら困るのは善くんでしょ。
「今の俺はプライベートですが」
そう言いながら、善くんは少し不満そうに眉をひそめる。