帆香とこうして仲良くできているんだから、それでいいんだ。

「あっ、次あたし出る番だから行ってくるね! 香ちゃん、見ててよねっ!」

「気分が乗ったら見てあげる。」

「絶対乗らないやつじゃんそれーっ!」

 騒がしい帆香を見送ってから、私は移動した。

 今度こそ人気のないフェンスのところまで行き、はーっとため息を吐く。

 ……それなのに。

「香ちゃん、こんにちは。」

「……げっ。」

「そんなあからさまに嫌そうな顔しないでよ。ただただ後輩の活躍を見に来ただけだよ?」

「……離れてください、近いです。」

 ニコニコ過ぎる笑顔が逆に怖い佐納さん。

 私は以前この人を振っている……はずなのに、今も尚私に関わってこようとしてくる。ちょっと……いや、結構しつこい。

「ねぇ、西条君だっけ? 彼氏君とはもう仲直りしたの?」

「あなたに関係ありますか? そんなの聞かないでください。」

「え、その感じじゃ西条君まだ勘違いしてるって事? ちょっとだけ可哀想かも。」

 ……かわい、そう?