そう言ったそいつは……気持ち悪いくらい、歪んだ何かを持っているように見えた。

 盲目で自制ができないようで、ゾクッとする。

「てめぇ……っ!」

「おっと……ふぅ、急に殴り掛かってこないでよ、危ないなぁ。」

「香に何した……っ!」

 泣かせたのか……? 香を……?

 こいつ、が……?

 そう分かってしまえば理性なんてなくなってしまいそうで、憎しみだけが残る。

 意味が、分からない……っ。

「何って……ちょっと抱きしめて、キスしただけだよ? あっ、唇にはしてないから安心してね。」

 ……そういう問題じゃ、ない。

「西条君、だっけ? どこ行くの?」

「香のとこに決まってる。」

 早く、早く香に会わないと。

 会って話をして……事情を聞かないと。

 はやる気持ちに駆られ、もどかしさに苛まれる。

「……今香ちゃんのところに行くのは、得策じゃないと思うなぁ。」

「何でお前が、そんな事言える。」

「えー? だってさ……」

 そこで意味深に切った、佐納。

 直後俺は、信じたくない事を耳にした。