……二回?

 どういう事だと問い質したくなり、下唇を噛み締める。

 嫌な予感がした。

「一回目は結構大雑把に振られたんだけどね……つい一昨日、正式に振られたよ。それはそれはご丁寧に、ね。」

「……香は何て言ってた。」

「ほんと、君って愛されてるよね。『今付き合ってる人と離れるなんて考えられないので、佐納さんとは付き合えません。本当にごめんなさい。』って言われたよ。」

 そ、うなのか……。

 ほっとする自分が居て、一気に緊張の糸が切れたような気がした。

 まさか、香がそう思っていてくれただなんて……。

 第三者から聞くのは少々癪だが、香がキッパリとこいつを振ってくれた事にもう一度安堵する。

 ……のは、束の間だった。

「香ちゃんって、本当に強情だよね。でもその分、丸め込めた時の嬉しさは半端ないんだ。」

「……お前、香に何かしたのか?」

 背筋が凍る。体の中から嫌な音が聞こえる。

 チラッと一瞬、そいつの表情を伺う……と。

「ふふっ、香ちゃんの泣き顔可愛かったよ。」