……――いや、怯えるって表現は語弊があるかもしれない。

「静流……変だよ。」

「変？　俺のどこが変だって言うんだ。」

　静流はそう言って、ふっと困った表情を浮かべる。本気で分かっていないみたいだ。

　けど、私には分かる。分かっている。

「あんまりこういうのは、よくないかもしれないけど……」

　言うかどうか、躊躇った。

　また喧嘩してしまったらどうしよう。仲が拗れてしまったらどうしよう。

　柄にもない事を考えてしまい、頭を抱えかける。

　それでもすんでのところでやめ、きっぱり口にした。

「私を愛してくれてるのは、嬉しいんだけどさ……盲目になるのは、ダメだと思うよ。」

　怯え、じゃない。

　彼への戒めをこめなきゃ、ならないんだ。

　贅沢な願いだとは百も承知。愛される事以上を望むなんて、あまりにも馬鹿すぎる。

　……その上で私は、今の静流も大概馬鹿だと思った。

　愛が重たすぎると、人って良くない方向に進んでしまう時があるらしい。

　ヤンデレ、って言ったりするかも。今の静流は、きっとその状態だ。