突き放されると、縋りたくなる気持ちも分かる。

『何で……? 何で、そんなことっ……!』

『いやっ! 香ちゃんとはもう、話したくないっ!』

 ……帆香(ほのか)、何してるかな。

 かつての友達の名前をふと思い出し、自分で自分を傷つける。

 引き金は、私なのに……な。

 どうしてだろ、未だに悲しくなる。

 佐納さんも、今の私と同じような気持ちなのかな。

 そう思うと、少し申し訳なくなった。



「……へぇ、こうちゃんってそこまで折羽さんに執着してるんだね。三角関係、いいじゃない。」

「他人事だと思ってっ……!」

「だって他人事だもの。わたしには直接関係ないもの。」

 うふふ、と上品に笑う立川さん。

 その笑顔が、今は憎らしく感じる。

 立川さんは、佐納さんが私に告ってきたのを知ってるらしい。教室の窓から見てたんだと。

 だからこうして、度々佐納さんの情報を貰っているというわけなのだけど……。

「こうちゃんはね、幼い頃から他の人よりも物覚えが悪くて、みんなから馬鹿にされてたんだ。だから多分、折羽さんにだけは見捨ててほしくなかったんじゃない、かな?」