「あぁっ！　あの迷子の人？」

「……こうちゃん方向音痴だから、多分あってるよ。」

　へぇ……あの人と立川さんって血縁関係あったんだ。

　確かにどちらも顔良いし、そう言われれば納得できる。

　でも、それがどうしたんだろ。

「確かに佐納さんには会ったけど、それがどうかしたの？」

　直球に尋ねて、真理を確かめる。

　立川さんは最初私の質問に困っていたようだったけど、しばらくしてから意を決したように口を開いた。

「あのね、こうちゃんが折羽さんに会いたいって言ってるんだけど……どうかなって思って。」

「私に？　何で？」

「そ、それは分からないけど……なんだか熱心な感じだったよ？」

　熱心……嫌な予感がするのは気のせいだろうか。面倒事の予感しかしない。

　第一、一度だけしか会っていない人に会いたいと思うものなんだろうか。

　なんて偏見を持つも、もしかしたらこの前のお礼をしてくれるのかもしれない……という、妙にケチな事を考えてしまった。

　そして、それは見事当たる事になる。