「折羽さん、西条君とはどうなの? 上手くいってる、かな?」

「……まぁまぁ、だよ。どうして?」

「だ、だって気になるんだもん。仮にも西条君は、わたしの好きだった相手だもん。」

「“だった”……ね。今は?」

「今は……もういいんだ。西条君のことは諦めてるし、好きな人も作る予定はないから。」

 控えめな様子の立川さんから、嫌味や悪意は感じない。

 むしろすっきりしているというか、吹っ切れているという様子。

 踏ん切りがついたんだろうか、なんて考える。

「……そういえばなんだけど、3日前にこうちゃんと会ったって聞いたんだけど本当?」

「こうちゃん? 誰のこと?」

 不意に発せられた“こうちゃん”とやらに、はて?と首を傾げる。

 私の周りにはこうちゃんと呼ばれる人はいないし、分からない。

 訳が分からなくてぽかんとしていると、立川さんははっとした表情を浮かべた。

「きゅ、急にごめんねっ。こうちゃんっていうのは、今大学一年の佐納洸丞君のことだよ。こうちゃんと私は親戚だから、折羽さんと会ったって聞いてね……」