「私も……ごめん。子供みたいに駄々こねた。」

「……仲直り、してくれるか?」

 恐る恐ると言った様子で確認してくる、子犬みたいな静流。

 それがどうしようもなく可愛くて、くすっと笑ってしまった。

「もちろん。ごめんね、静流。」

「俺のほうこそ……本当に悪かった。」

 静流の言葉が紡がれたと同時に、ふわりと体が浮く。

 と、思ったら静流の大きな体に抱きしめられる。

 なんだかんだ、こうやって触れてるのが落ち着くなぁ……。

 普段の私らしからぬ事を思いながら、この事態に乗じて甘えてみようと思った。

 甘える、なんてどうすればいいか知らない。

 静流はよく『俺には甘えてくれ。』って言ってくれるから、今回は遠慮なく甘えよう。

「……静流に抱きしめてもらうの、落ち着く。」

「やけに素直じゃん。」

「そう思ったから、言っただけだし。」

「ふーん。」

「ん? しず……――ふぁっ!?」

 けれどもやはり、恋愛初心者の私には静流に及ばない。

 静流のほうが一枚上手だったようで、私では敵わなかった。