「はぁ……つっかれたぁ……。」

「お疲れ(かおり)。体力もう残ってない感じ?」

「うん、ない。おぶって。」

「いいよ。」

「……やっぱいいや。ここ学校だし。」

 9月のある日、私は木陰で盛大なため息を吐いていた。

 それもそのはず、さっきまで体育祭の練習をしていたものだから。

 運動は好きだけど、ここ最近はぶっ続けで練習があるから疲労が溜まる。

 そんな私の隣で意地悪く笑うのは、彼氏である西条静流(さいじょうしずる)

 静流は普段は無気力でいつもダルそうにしていて、今回の練習だって途中でサボっていた。

 だから私よりも疲れていないらしい、けど……。

「静流ずるくない? ちゃんと体育祭の練習しなきゃダメでしょうが。」

「……練習しなくても、ほとんど走るだけだから大丈夫じゃない?」

「そういう問題じゃないんだけど。」

 あー言えばこー言う……言い訳ばっかり言われても、こっちも困るんだけどなぁ。

「静流さぁ、運動神経良いんだから練習して学年優勝狙えばいいのに。もったいないじゃん。」