「それで……マナブなんだね。」

僕は嬉しくなった。

自分の名前をそこまで真剣に悩み考えてくれたことに。

自分の名前に込められた意味を考えると……

なんだかくすぐったい気がするけど凄くいい名前だな〜って思えた。


僕が嬉しくて笑顔になると母さんがこう付け足してくれた。


「あのね、マナブ」

「なぁに??」

「あなたは泣き虫でよく涙を流すわ。お母さんもホントはもっと強くなって欲しい。けどね…赤ちゃんは一番最初にこの世に誕生した時に母親に自分の元気な生命を示すかのように産声をあげるわ。それと同じようにあなたの涙は常に『お母さん…僕は今日も元気に生きてるよ』 って伝えてくれているようにも思えるのよね〜。 泣く人ってのは弱い人っていうよりも…優しすぎる人ってことなのかもねぇ。」


「………。」

僕がなにも言えずにいるとちょうど父さんの帰宅をあらわす車の音が聞こえた。

「帰ってきたね。 お腹すいたねー。」

そう言って母さんは父さんを出迎えに行った。


【泣き虫=優しい人?】

僕にはまだよくわからない。

でも母さんと話して泣き虫ってそんなに悪いことじゃないのかな…って気もしてきた。