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夕食の前に僕は茶の間で勉強する。

運動も苦手で足も遅い。ケンカも強くない。お金持ちでもない。正直コンプレックスの塊みたいな僕…… でも勉強だけはそんなに苦痛じゃなかった。 何かを知ることは楽しかったし、本を読むのも大好きだった。

「そろそろ夕食の準備するから片付けなさい」

母さんが夕食のおかずを運んで来た。 今日は煮付けらしい。

「後はお父さんが帰って来るのを待つだけだわ」
夕食の準備をだいたい終えた母さんが腰をおろす。

「ねぇお母さん……」

「なぁに?」

「何で僕の名前はマナブってついたの?」

僕は最近思うんだ。

マナブって…名前がいけないんじゃないか?って。 もっと強そうな名前だったら……例えば勝也、とか……こんなに泣き虫じゃなかったんじゃないかな?って。


母さんは僕の顔を見ながらゆっくり話してくれた。