だから、貴一もひどく驚いた。


本来であれば1日で戻ってくるのは難しい距離ではあったが、玻玖は和葉の危険を察知し『空渡ノ術』を使って移動したのだった。


「わたしなんかのために…そんな呪術を。それでは、お体は…!?どこか苦しかったり、痛かったりはされていませんか…!?」


代償に体に負荷がかかると聞いて、玻玖の体をいたわるように触れていく和葉。

そんな和葉の姿に、玻玖は頬をゆるめる。


「心配するな。続けて使わなければ、たいしたことはない」

「本当に…大丈夫なのでございますか!?」

「ああ。俺の体は、そんなにひ弱なつくりにはなっていないからな」


そう言って、和葉の頭をやさしくなでる玻玖。

どうやら強がりではないとがわかり、和葉は安堵の表情を浮かべる。


「そんなことよりも、…和葉は恐ろしくはないのか?」