と言いかけて、「…あ」と声を漏らす玻玖。


「すまない。そなたの『予知眼ノ術』は、視えてもせいぜい数時間先が限界だったな。そんなわずか先の未来を視たところで、結ばれるもなにもわからないな」


目を細め微笑む玻玖の表情は、嫌味たっぷりだというのにどこか美しい。


その顔に免じたとしても、馬鹿にされた乙葉は黙ってはおけない。


「東雲様…!わたくしを侮辱するのもいい加減にしてくださるかしら…!?」

「その言葉、そっくりそのまま返すとしよう。いくら実の妹とはいえ、和葉を傷つけるそなたをこのまま屋敷に置いておくわけにはいかない」

「言われなくても、明日の朝になれば荷物をまとめてすぐにでも帰るわ!」

「いや。今すぐここから帰っていただこう」


そう言って、玻玖が大きく手を振り上げると、突如空中に謎の大穴が現れた。