玻玖の温かさに包まれた和葉の手から、短刀が滑り落ちる。


「和葉がこの世に生まれるずっとずっと昔から、
俺はお前のことを愛していた」


玻玖は愛おしそうに、和葉を後ろから抱きしめる。


「わたしが生まれる…ずっとずっと昔から、わたしのことを…?」

「ああ、そうだ。せっかくこの世でまた巡り会えたというのに、死ぬなんて言うな…」


玻玖の声は震えていた。

和葉を失うという恐怖に駆られて。


そうして、玻玖は何度も何度も和葉の頬や首元にキスをする。

まるで、自分の存在を和葉の体に刻むかのように。


玻玖の唇が和葉の真新しい首筋の傷に触れると、『治癒ノ術』で跡形もなく癒えていった。


――傷とともに、和葉の心も浄化される。


和葉は、そんな不思議でどこか温かみのある感覚に包まれた。