「お姉ちゃんに見られたからって、急に態度がお変わりになるのね…!これまで、わたくしにやさしくしてくださっていたというのに!」


その言葉に玻玖の肩がピクッと反応し、乙葉のほうを振り返る。


「…俺が、やさしく?そんな覚えはないが」

「どうしてそんなことをおっしゃるの!?わたくしが言うことに、いつも素直にお聞きになっていらっしゃったじゃない!」

「勘違いするな。それは、そなたが和葉の“妹”だからだ。黒百合家でひどい扱いをされたにも関わらず、そなたを見捨てられなかった和葉のやさしさに泥を塗らないために、口を出さずにそうしたまでのこと。和葉が『必要ない』と言えば、すぐに追い返していた」


これには、さすがの乙葉も怒りが込み上げる。


「わたくしを…『追い返す』!?ありえないわ、そんなこと!」