乙葉は、数日前からこの調子。


そう。

満月の夜の日からだ。


乙葉はもともと社交的なほうではあったが、玻玖とはそれなりの距離は保っていた。

特別、興味がある人間でもなかっただろうから。


それがあの夜を境に、それまでの距離感を遥かに縮めるほど、常に玻玖のそばにいたがるようになっていた。


「旦那様、…すみません。最近、乙葉がついてまわって…」

「実は、俺も少し驚いている。懐かれるようなことをした覚えはないが…」


乙葉につきまとわれ、日中どっと疲れている様子の玻玖。

そんな玻玖にとって、和葉といっしょに月を見るときが、とても心安らぐ時間であった。


和葉も同じことを思っていた。


この時間だけは、2人だけの時間。

玻玖と静かに向き合うことのできる大切な時間。


――ところが。