しかし、毎日のように玻玖にこうされることで、不思議とその言葉に駆り立てられようとする衝動が和らいでいくのだ。


だからこそ、貴一によって恐怖に支配されようとも、和葉は未だに行動に移していない。

それがなによりの証拠だ。


「そういえば乙葉と、旦那様が面を取られたときの話になって、ついしゃべってしまいました…。もし、乙葉がしつこく面を取るように言ってくるようなことがありましたら…申し訳ございません」

「気にするな。おかしな身なりをしている自覚はあるからな」


笑ってみせる玻玖。

乙葉がまた迷惑をかけたらどうしようかと思っていた和葉だが、その顔を見てほっと安心する。


ふと、そんな和葉の顎をやさしく持ち上げる玻玖。

玻玖の吸い込まれそうな翡翠色の瞳に捉えられる。


「和葉、愛している」