そうつぶやきながら、和葉の顔をのぞき込む乙葉。


「寡黙で、わたくしがすることにもなにも言わずに受け入れてくださって、案外いいお方なのね」


たしかに、和葉も少し驚いてはいた。

乙葉が家出をしたと言ってやってきたときも追い返す素振りもなく、夕飯の酒も勧められるまま断ることなく飲み続け…。


こんなに乙葉を受け入れるとは思っていなかったから。


「やっぱり、わたくしが東雲様と結婚していたらよかったかしら。…まあ、あの狐の面を外されないところを見たら、よほどお顔に自信をお持ちでないのだろうけど」


玻玖がいないのをいいことに、クスッと笑う乙葉。


「乙葉、それは旦那様に失礼よ。それに、面を外された旦那様は、とてもきれいなお顔をしていらっしゃるわ」

「…えっ!お姉ちゃん、東雲様のお顔を見たことがあるの!?」