一度だけではなく、二度も騙すことになるのだから。


処分も、追い出す程度で済まされるとも思ってはいないが。


「こんなところに、隠すものでもあったか?」


玻玖は、そっと和葉の着物に手を伸ばした。

適当な言い訳も見つからない和葉。


…もうだめだ。

玻玖に気づかれる。


和葉はギュッと目をつむり、潔く覚悟を決める。


「…なんだ、これは?」


ついに見つかってしまった。

第2の暗殺計画が――。


震える和葉。

おそるおそる目を開けると――。


「これは…、手鏡…か?」


そうつぶやきながら、玻玖は丸い鏡の部分が抜け落ちた朱色の漆で塗られた木の枠を持ち、不思議そうに眺めていた。


それは、ずっと前に乙葉とぶつかったときに落として割れた、和葉が大事にしていた手鏡の枠だった。