ひとりになって、心臓のドキドキをおさえた。
恋、ってこんな感じ…?
胸が苦しい。





先生が帰ってくる頃には、あたしの顔の火照りもおさまってた。





「はい、コーヒー」


「ありがと…遅かったね」




机の上にトン、と置かれた缶コーヒー。
先生を見上げて聞くと、イスに腰をおろしながら苦笑いをした。




「生徒に捕まってた」


「…また告白?」


「そんなポンポン告白されてたまるか」




そっか…。
先生にとって、生徒からの告白って迷惑?



普通に考えたら、そうだよね…。
対応に困るよね。




わたしがむすっと頬を膨らませると。




「そんなかわいい顔して、色仕掛け? 百瀬にはまだはやい!!」


「っ……あ、あたしだってその気になればできるもん…」





一時間もしないうちに、あたしは先生の沼にずぶずぶ。
もう、抜け出せないよ。先生のバカ。





「へえ? じゃあ俺のこと落としてみる?」


「…な、な、…」





先生。
そんなこと、誰にでも言うの?




どうせ生徒なんか好きにならないくせに…。
その気にさせるだけさせて告白されたら振るなんて。