「…俺さぁ、百瀬のことは良い生徒だって思ってたよ」





あ、これ、振られる流れ…?
瞳を揺らすと、先生は「最後まで聞けって」と笑う。





「従順だし、犬みたいだし」


「…犬って」





ゆっくり、瞬き一回。
先生…まつげ、長。





「それが蓋を開けてみれば。…教師に恋心を抱いちゃうような、悪い子だったとはな?」





悪い子…。
そうだよ。
だから、先生にお仕置きされたい。



またヘンタイって、怒る?
でもいいよ。先生になら、なにされても…。






「弥生ちゃん、おいで」






先生は、おもむろに立ち上がって。
窓際に寄り添い、カーテンを閉めた。



暗くなった教官室の中…。
あたし、先生の腕の中に飛び込んだ。





「……俺も好きだよ、弥生ちゃん」





ーーあぁ、息が詰まりそうだ。




呼吸の仕方を忘れるなんて、はじめて経験した。
先生の口から聞きたくて仕方なかった言葉。