ーーコンコン。
放課後まで待った。
よく耐えた。あたし。
「はーい」
中から聞こえた声。
あたしはドアを開ける。
「百瀬、いらっしゃい」
いつもの先生。
…でも、いつも通りじゃない。
なにそのチョコの山は。
隠しきれてないよ。
あたし、超不機嫌。
ムス…って頬を膨らませてみる。
「あー…これ、気にしないでいいから」
「気になるよ…」
無茶ぶりやめてね。
先生、なんでそんなモテるの。
アラサーのくせに。
…ってのは、ちくちく言葉だからね。
言わないでおくよ。
「いらないって言っても無理矢理渡してくんだもん」
「…もっと真剣に断ってよ」
なんて、わがままだよね…。
先生はあたしの彼氏でもなんでもない。
したがって、あたしは先生の彼女じゃない。
…口を出す権利なんて、ないの。