バレンタイン当日の学校は、朝からそわそわムード。
「はい、乃蒼くん、これ」
「…え? マジ?」
あのあとね。
茉白だけ、別で簡単なクッキーとマカロンを作ってた。
「友チョコだからね」
「いや、分かってるわ」
とかいって。
乃蒼、嬉しそう。
あたし。
先生以外に渡さないって決めてるから、用意してなくて、ごめんね。
「てか、お前大丈夫なの?」
乃蒼?
なんの心配?
「遊佐、さっきから女にチョコ渡されまくってるけど」
「……」
そうだった。
先生のこと好きな女の子は五万といる。
みんながみんな、ライバルだった。
…教官室行く隙もあるのか、怪しいな。
「先生これあげる」
「感想ちょうだいね!」
って…。
ほぼ渡し逃げみたいなことをずっとされてる。
先生。
喜んでる?
…あたし以外からもらって、にこにこしちゃって、ばかみたい。