片方にアプリコットジャム。
ぺたぺた塗ったあと、もう片方を重ねる。
それから。
熱したアプリコットジャムをこして、生地の上にかけてコーティング。
んー。
良い感じ。
最後の工程に入る。
生クリームを沸騰させて、チョコレートと混ぜる。
少しだけ冷まして、これもまた生地の上から回しかける。
「いい匂い~」
「おなかすいてきた」
料理もそうだけど。
作ってる途中でおなかすくからダメだよね。
側面を整えて、冷蔵庫に入れたら終わり。
あとは冷えたら完成…。
「疲れたぁ…」
「見てるほうが疲れたよ。弥生、危ないもん」
「でもちゃんと作れたでしょ!」
腑に落ちてなさそうな茉白。
失礼しちゃう。
お母さんはそんなあたしたちの様子を見て笑ってた。
なに、この平和な空間。
「…なんか、いい匂いした」
そこへお兄ちゃん登場。
残念。もう、王様は冷蔵庫の中。
あたしの隣にいる茉白に軽く会釈をして、ダイニングテーブルのイスに座る。
お菓子作り、たまにやる分には面白いかも。
「ところで弥生、誰に渡すの?」
…お母さん。
それは聞かない約束。
「ナイショ!」
茉白、ふふって笑わないで。
顔が熱を帯びる。
こうして、バレンタイン前最後の休日は。
無事に…? 幕を閉じた。