「百瀬…。そっか、そうだよな。言い方が悪かった」
うん。
本気の恋が失われたときって、誰でも辛いはずだから。
「…百瀬は、彼氏とかいないのか? 好きな人とかさ」
「え? いないよ。恋したことない」
あたしの返事に、先生は笑った。
まだ高校一年だし。ギリギリセーフ! これからだよって、言うつもりだった。
「百瀬はかわいいからなぁ、すぐできるよ」
「…え」
ドキドキ…。
心臓、うるさい。
先生…そういうとこ。
かわいいって、軽く言っちゃいけないんだよ。
あたし、慌てて俯いて顔が赤いのを隠した。
それなのに先生は平気な顔して立ち上がってさ。
「百瀬、なんか飲む?」
って言うんだよ…。
ずるい、ホント。
あたしはたった今、初恋を知ったばかりなのに。