「時間が経てばアイツも俺のことなんかきれいさっぱり忘れて、あっさり彼氏とか作るんだよ」


「……」


「でも。今だけは、ちょっと胸が痛いよな」





泣きそうに笑う先生。
なんだか、すごくきれいだった。



先生…春が似合う。
窓の外で舞っている桜が、先生を輝かせて見えるよ。




”女の子から告白とかされても断れなさそう”。




そんな第二印象。
全然、違った。



ちゃんと断るし、気も弱くない。
先生として、しっかりしてた。





「高校生の恋愛なんてそんなもんだって分かってんのにな…」





先生。
あたしね、初恋もまだだよ。
だから恋愛とか、よくわかってないけど。





「そんなことないよ…。きっと、あの子、先生に本気だったから泣いたんでしょ?」





あたしはゆっくり、先生の向かいのイスに座った。
俯きがち。先生の顔は見れない。