うん…そうだね。
難しいね、先生と生徒っていうのは。
それが障害になってるのはじゅうぶん承知の上。
先生。
あたし、待つよ。
でも、我慢はしないよ。
「…いったん、保留にしてもいいかな」
先生なりの優しさ。
振れなかったんだよね。
…あたし、その優しさに付け込んじゃうよ?
今の告白で。
より一層、先生を誰にも渡したくないって思った。
「うん。…待ってるね」
あたしはイスから立ち上がって、先生の髪をサラ、って撫でた。
…大好き。
もう抑えられない。
「…はやめに降参したほうがいいよ」
それだけ言って。
教官室のドアを開ける。
「百瀬」
後ろから、名前を呼ばれて振り返った。
ダメだよ…今、痛いくらい心臓が震えてるんだから。
「いや……弥生ちゃん」
なん、で。
…名前で呼びなおす必要、なかったのに。
ずるい、先生。
…泣きそう。
「俺を好きになってくれてありがとう」
「っ…」
「すぐに答えだすから。…いい子にして待ってて」
あぁ…。
先生には敵わない。
あたし、なにも返事せずに教官室を飛び出した。