「…ももせ」





先生の心地よい声で、名前を呼ばれた。
…うん。百瀬です。



あなたの彼女になりたいって、毎日のように願っていた生徒です。





「…それ、どういう意味の」


「あたし、先生を恋愛対象として見てる。先生じゃなくて、男の人として」





先生の言葉にかぶせるように、食い気味に言う。



今、どんな気持ち?
あたしは…胸いっぱいすぎて、頭真っ白になりそう。




外は雪だけど、あたしの心は曇り。





「…なんで、俺」





難しいこと聞くなぁ。
先生。





「あたしだって、恋なんかするつもりなかった」





めんどくさいものだって認識が取れなくて。
高校入っても、友達さえ出来ればいいやって。





「でも、生徒を泣かせて申し訳なさそうにする先生を見て目が離せなくなった。…あの日、はじめて先生とコーヒー飲んだの、覚えてる?」


「…うん」


「コーヒーは微糖でもよかった。だけどね。それからは、微糖じゃ足りないくらい、先生に甘やかしてほしくなった」