あたし。
空から降ってくる雪を手で握ろうとする。
捕まえたと思っても、手を開いてみると溶けて水分になった、雪だったもの。
…先生みたい。
雪って、先生に似てる。
捕まえたいのに捕まらないの。
あたしの隣に来るのは、嫌ですか。
教師だから、遠慮してるんですか。
…ぜんぶわすれて、先生とひとつになりたい、あたし。
わがままでごめんね。
でも今更でしょ?
もうね。
我慢しないって、決めたの。
この結果が悪いものでも…。
あたし諦めないし。
たくさん、アタックするから。
…先生、あたしから逃げられると思わないでね。
いつもよりゆっくり、瞬きをした。
目を開けば、もうすぐそこに学校が見える。
何度も何度もくぐった門を通り過ぎて、校舎に向かう。
生徒玄関で、靴を脱ぐ。
上履きは、終業式の日に家に持ち帰ったから、今日は靴下のまま。
見慣れた廊下。
毎日のように通った教官室まで、迷うことなく歩を進める。