「…あれ、弥生どこ行くの」
来たるクリスマスイブの日。
家でごろごろする家族を横目に、あたしはいそいそと着替えて出かける準備。
バレないようにって思ったのに、お兄ちゃんに見つかった。
玄関で靴を履くあたしにうしろから声をかけてくる。
「…友達と会ってくる」
「ふーん…」
信じてない?
あたしに友達なんかいないって思ってる?
うるさいよ、お兄ちゃん。
「ケーキ買ってあるから、夜には帰って来いよ」
「うん。いってきます」
未だダル着のままのお兄ちゃんに挨拶をして、外に飛び出した。
学校に行くんだから、一応制服。
ブラウンチェックのマフラーをぐるぐる巻いて、防寒完璧。
今年の冬は、少し寒い。
はぁ、って息をつくと、空気が白くなる。
学校までの道のり。
徒歩通学。
遅刻指導の先生に会えるのが楽しみで、わざと遅く行った日もあった。
この時間調整ね、結構大変なんだよ。