先生に連れてこられたのは、個人経営のこじんまりとしたラーメン屋さん。
細い路地に入ったところにあって、初見じゃ見つけられないはずだ。
ここだったら、生徒に見られる心配もないもんね…。
先生は賢い。
「先生、あたしお金…」
「あ、いいよ。俺の奢り」
「…ホント?」
「特別な」
さっきから。
特別っていうけど…先生。
それ、どんな意味で言ってんの?
「お前なにたべる?」
「じゃあ…豚骨」
「んー…俺は……」
メニューを見ながらしばらく迷ったあと、先生は店員さんを呼んだ。
「豚骨ラーメンと、坦々麺で!」
「はいよー」
坦々麺って…辛いやつ?
先生、辛いの好きなの?
「なんだよ。珍しい? 俺が辛いの食べるの」
「うん…」
だって、いつも甘いものばっかり。
甘党と辛党って両立しないんだよ。
変なの…。