あぁ、もう。
先生…どこまであたしを本気にさせるの。


特別なんて言葉、軽く使わないで。
先生のことならなんでも信じちゃうよ。




「しゅっぱーつ」




ぐん、と車が動き出す。



運転する姿…いつ見てもかっこいい。




「先生」


「ん?」


「運転するの、楽しい?」




他愛もない話を振った。
沈黙したくない。
少しでも、先生と有意義な時間を過ごしたい。



そりゃ、隣にいられるだけで幸せなんだけどさ…。





「どうかなぁ。もう今は慣れの方が強いから、楽しいとも思わないかもなぁ」


「何歳のときに免許とったの」


「18だな」




先生の、優しい話し方が好き。
質問に答えるとき、単語で終わらせないのが好き。




「あたし、運転なんかできる気しないよ」


「俺も最初そう思ってたよ! 教習所の中で事故ったりしてな」


「えぇ!? 大丈夫だったの、それ」


「教習所内のコースは作りもんだし、助手席にもブレーキついてるから大丈夫」