「えーっ、なにあの美人!!」


「遊佐せんせーと喋ってる! 彼女ー?」




……あー。
こうなると思った。



まさか、文化祭にまで出没するとは。
飛鳥さん…。



なにがしたいの?
既婚者でしょ。まだ先生に気がある?



…考えたくないことばかり、頭に浮かんでくる。




「ねぇ、あれって…」




隣で呼び込みをしていた茉白も、声を潜めて聞いてくる。
うん。夏祭りの日に遭遇した人。



遊佐先生の元カノ。
…付き合った期間、4年弱。




じっと見ていたら、飛鳥さんの元に見慣れない男性が走ってくる。
あ…もしかして、飛鳥さんの旦那さん?



なんだ。
今日は旦那さんも一緒だったんだ。




「ホッとしてる? 弥生」


「うん…」


「甘いなぁ。弥生は。……あの人がどんな人間かだって、まだ分かんないのにさ」




茉白の言うことも一理ある。
でも。
先生が過去に好きになった人のこと、あたしも信用してみたいって思った。



嫉妬はするけど……それも、信用するための材料として。