空気が、今までで一番ピリッとしている。

 なんだか、この場にいるのがいたたまれなくなってきた。

 だけど、これは私の問題だから私が黙っているのもおかしな話だ。

 私は椅子から立ち上がって、ふたりに顔を向けた。


「私は、まだまだ子供だし、いたらないところがありますけど、何事もしっかり受けとめて頑張ります。どうかあたたかく見守ってください」


 まず由希ちゃんに深く頭を下げた。

 それから遥さんに顔を向ける。


「どうか、いろいろご指導ください」

 頭を下げると、ふたりから笑いがもれた。


「ちょっと、そんなにかしこまらなくたっていいよ。いろはを困らせるつもりはないの。ごめんね、ちょっと意地悪言った」


 顔を上げると由希ちゃんが笑顔になっていた。

 それから遥さんも穏やかな表情で言う。


「君はあまり気にしなくていいよ。間宮さんは君のことが心配で俺にいろいろ訊いてきたんだよ。大人の世界ではよくあることだから」


 私は呆気にとられてふたりを見た。

 ふたりとも、すでに笑顔だったので少し安堵してため息をついた。


 よかった。険悪な関係になったわけじゃなかったのね。